
こんにちは、GENTLEMEN静岡の渡井です。
「ダイエットには炭水化物抜き(糖質制限)が良いの? それとも脂質制限(ローファット)が良いの?」
いざダイエットをやろうというとき、このような疑問を持つ方は非常に多いのではないでしょうか。
世の中には様々な流行のダイエット法があふれていますが、健康的に長期的かつ確実に体脂肪を落とす方法として、スポーツ選手やボディビルダー、医療現場でも広く採用されているのが「脂質制限ダイエット(ローファットダイエット)」です。
今回は、厚生労働省などの公的機関が示している推奨摂取データや、信頼性の高い海外の査読付き科学論文を引用・解説しながら、脂質制限ダイエットのメカニズム、具体的なやり方、そして成功のための秘訣を徹底解説します!
脂質制限ダイエット
脂質制限ダイエットとは、日常の食事における「脂質(Fat)」の摂取割合を抑え、相対的にタンパク質(Protein)と炭水化物(Carbohydrate)を中心に栄養を補給する食事法です。
なぜ「脂質」を減らすと痩せるのか?
最大の理由は、三大栄養素(PFC)の持つエネルギー密度の違いにあります。
- タンパク質(P): 1g あたり 約4 kcal
- 炭水化物(C): 1g あたり 約4 kcal
- 脂質(F): 1g あたり 約9 kcal
ご覧の通り、脂質はタンパク質や炭水化物の2倍以上のカロリーを持っています。 例えば、同じ「10g」を食べるにしても、炭水化物なら40kcalですが、脂質だと90kcalを摂取することになります。
そのため、食事の重量や満腹感をあまり損なうことなく、総摂取カロリー(エネルギー)を劇的にカットしやすいのが脂質制限最大のメリットです。
国(厚生労働省)が定める「脂質の推奨摂取量」とは?
「脂質はダイエットの敵だから、ゼロにすればいいの?」というと、それは大きな間違いです。
脂質は細胞膜やホルモン(エストロゲンやテストステロンなど)の材料となり、脂溶性ビタミン(A, D, E, K)の吸収を助ける必須の栄養素です。
では、国はどれくらいの脂質摂取を推奨しているのでしょうか?
『日本人の食事摂取基準(2020年版)』による基準
日本の厚生労働省が発行している『日本人の食事摂取基準(2020年版)』によると、成人が1日に摂取するエネルギーのうち、脂質から得るエネルギー割合(脂質エネルギー比率)の目標量は以下のように設定されています。
■ 脂質エネルギー比率(目標量)
18歳以上の男女:総エネルギー摂取量の 20%以上 30%未満(20〜30%%)
(※飽和脂肪酸については、7%%以下に留めることが望ましいとされています)
出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
脂質制限ダイエット中の目標設定
一般的な日本人の食事は、脂質エネルギー比率が25〜35%程度になりがちです。
脂質制限ダイエットを行う場合は、この国の基準の下限付近である「総摂取カロリーの15%〜20%」を目安に脂質を設定するのが一般的かつ安全とされています。
- 例:1日1,800 kcalを摂取する場合
- 脂質ターゲット:15% 〜 20%
- 脂質からのカロリー:270 kcal 〜 360 kcal
- 1日の脂質摂取量:約 30g 〜 40g (※1g=9kcalで計算)
これ以上脂質を極端に減らしてしまう(10%未満など)と、肌荒れ、ホルモンバランスの乱れ、脱毛、生理不順などの健康被害リスクが高まるため、適切な下限を守ることが不可欠です。
トレーナー渡井の経験
1日30g以下の脂質摂取量で鬱っぽくなるなど、顕著なホルモンバランスの乱れ、空腹感の増大がありました。
脂質を抑えればそれだけ多くのカロリーを抑えられますが、その反動がその分大きく跳ね返ってきます。
脂質は必ず1日30g以上は経験上からもダイエット中で必ず摂取したほうが良いです。
海外の論文・最新研究が証明する脂質制限の効果
「糖質制限と脂質制限、結局どっちが痩せるの?」という議論は、世界中の栄養学・医学界で長年研究されてきました。いくつかの代表的な海外論文を紹介します。
「糖質制限 vs 脂質制限」減量効果に決定的な差はない
スタンフォード大学の研究チームが発表した有名な「DIETFITS研究」では、肥満傾向のある成人609名を対象に、12ヶ月間にわたって「低糖質(ローカーボ)食」と「低脂質(ローファット)食」の2つのグループに分け、減量効果を比較しました。
- 研究内容: 健康的な低糖質食(Healthy Low-Carb)と健康的な低脂質食(Healthy Low-Fat)を1年間実践。
- 結果: 1年後の平均体重減少量は、低糖質グループが -6.0 kg、低脂質グループが -5.3 kg であり、両者の間に統計的な有意差(大きな違い)は見られませんでした。
- 結論: 質の高い食品(加工食品を避け、野菜やホールフードを食べる)を選び、エネルギー収支(摂取カロリー<消費カロリー)を保っていれば、脂質制限でも糖質制限と同等にしっかり痩せられることが証明されました。
引用:Gardner, C. D., et al. (2018). Effect of Low-Fat vs Low-Carbohydrate Diet on 12-Month Body Weight Loss in Overweight Adults and the Association With Genotype Pattern or Insulin Secretion. JAMA, 319(7), 667–679.
脂質制限は「体脂肪の減少量」で優位に立つ
米国国立衛生研究所(NIH)のケヴィン・ホール博士らが行った厳密な代謝ケージ研究では、肥満患者を対象に厳格に管理された施設内で「低炭水化物食」と「低脂質食」を摂取させました。
- 結果: 摂取カロリーを等しくカットした場合、「低脂質食(脂質制限)」グループの方が、実際の「体脂肪減少量(Body Fat Loss)」においてわずかに大きい数値を示しました。
- メカニズム: 糖質制限は体内の水分やグリコーゲンが抜けることで初期に体重が大きく落ちやすい一方、純粋な「体脂肪」の燃焼効率においては、脂質制限が非常に優れていることが確認されました。
引用:Hall, K. D., et al. (2015). Calorie for Calorie, Dietary Fat Restriction Results in More Body Fat Loss than Carbohydrate Restriction in People with Obesity. Cell Metabolism, 22(3), 427–436.
脂質制限ダイエットのメリット・デメリット
科学的な裏付けを踏まえた上で、脂質制限のメリットとデメリットを整理しておきましょう。
脂質制限のメリット
- 主食(ご飯・パン・麺類)を食べられる
- 糖質制限と異なり、お米や和食を中心とした食事ができるため、日本人にとって継続しやすいです。
- 筋トレや運動のパフォーマンスが維持できる
- 炭水化物(グリコーゲン)が筋肉のエネルギー源となるため、運動不足にならず、筋肉量を維持しながら脂肪を落とせます。
- 満腹感を得やすい
- 高タンパク・高炭水化物の食事はボリューミーになりやすいため、空腹感に苦しむリスクが低くなります。
- 食費が抑えやすい
- 鶏胸肉、ノンオイルツナ、和食食材、お米などは比較的手頃な価格で手に入ります。
脂質制限のデメリット・注意点
- 外食や惣菜の選択肢が限られる
- 現代の外食・ファストフード・コンビニ弁当は「高脂質+高糖質」の組み合わせが多く、脂質カットの難易度が上がります。
- 肌の乾燥やホルモン低下のリスク
- 脂質を完全にゼロにすると、肌のカサつきやホルモンバランスの乱れにつながります。「良い脂質」を最低限摂取する必要があります。
脂質制限ダイエットの具体的やり方
脂質制限を正しく成功させるためのステップと食事のポイントです。
ステップ1:自分に必要なPFCバランスを計算する
まずは自分の1日の目標摂取カロリー(アンダーカロリー状態)を設定します。
- タンパク質(P): 体重 1kg あたり 1.5g 〜 2.0g
- 脂質(F): 総摂取カロリーの 15% 〜 20%
- 炭水化物(C): 残りのカロリーすべて
【計算例】体重60kg、目標カロリー 1,600 kcal の場合
- P(タンパク質): 60g × 2 = 120g(480 kcal)
- F(脂質): 1,600 kcal × 20% = 320 kcal ÷ 9 = 約 35g(320 kcal)
- C(炭水化物): (1,600 – 480 – 320) ÷ 4 = 200g(800 kcal)
ステップ2:食べて良い食品・控えるべき食品を知る
〇 積極的に選びたい食品(低脂質・高タンパク・複合炭水化物)
- タンパク質: 鶏胸肉(皮なし)、ささみ、豚ヒレ肉、牛モモ肉、鮭・たら・マグロ赤身などの魚介類、卵白、カッテージチーズ、ノンオイルツナ
- 炭水化物: 白米、玄米、オートミール、そば、ジャガイモ、サツマイモ、和菓子(あずき、大福など)
- 良質な脂質(少量だけ摂取): オリーブオイル、アボカド、青魚(EPA/DHA)、ナッツ類、MCTオイル
✕ 避ける・控えるべき食品(高脂質)
- 肉類: 豚バラ肉、牛カルビ、鶏もも肉(皮つき)、挽き肉、揚げ物全般(とんかつ、唐揚げ)
- 洋菓子・スナック: ケーキ、クッキー、洋風パン(クロワッサン、デニッシュ)、ポテトチップス、アイスクリーム
- 調味料・油脂類: マヨネーズ、ドレッシング(ノンオイル以外)、バター、マーガリン、大量の炒め油
まとめ
海外の科学的論文(JAMA や Cell Metabolism など)が示している通り、脂質制限ダイエットは体脂肪を効率よく落とすための確固たる実績と科学的根拠がある手法です。
厚生労働省のガイドラインが推奨するように、脂質は「ゼロにする」のではなく、「質の良い脂質を必要最低限(20%前後)摂りながら、無駄な脂をカットする」のが成功への最短ルートです。
お米や和食を楽しみながら、健康的でリバウンドのないボディメイクを目指して、ぜひ今日から「脂質制限(ローファット)生活」を始めてみてください!
参考文献
- Gardner, C. D., et al. (2018).Effect of Low-Fat vs Low-Carbohydrate Diet on 12-Month Body Weight Loss in Overweight Adults and the Association With Genotype Pattern or Insulin Secretion.JAMA, 319(7), 667–679.
- Hall, K. D., et al. (2015).Calorie for Calorie, Dietary Fat Restriction Results in More Body Fat Loss than Carbohydrate Restriction in People with Obesity.Cell Metabolism, 22(3), 427–436.
- 厚生労働省『日本人の食事摂取基準(2020年版)』「1-3 脂質」